環境問題  

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はじめに
 エサキクチキゴキブリやシノハラフサヤスデ(写真左)よりオオムラサキ(写真右)やゲンジホタルの保護の方が重要ですか?
 感情的な環境保護活動によって環境が破壊されてしまう前にまず何をすべきでしょうか。

ヤスデ     蝶


「全体」としての生態系
 生態学の立場から見れば、環境問題は人間が環境から受ける負のフィードバックと言いかえることができます。 例えば一時期の豊かな環境条件によってシマウマの個体数が増加したとすると、 恐らく食料が足りなくなったりライオンが増えたりして、シマウマの数が減る方向へ環境からの圧力が生じるでしょう。 同様に人間の場合も、過剰なエネルギー消費や食料生産、多量の化学物質合成等の、 生活を豊かにしようとして行った行為が環境を変化させ、 逆に人間自身の生存にマイナスになるような方向に圧力を受けていると言えます。
 問題の解決には政策的な部分ももちろん重要ですが、根本的な解決には 生態学や地球物質化学の発展が重要だと考えられています。しかし、生態系や地球の物質の流れは 一般に複雑かつ有機的に絡まりあったものであり、それを理解し、さらに予測、 あるいは制御していくことは多くの場合困難です。
 例えば、良い例ではありませんが、特定外来種を駆除したり、 あるいはサケのいなくなった川にサケを放流したりすることが、環境破壊となる可能性もあり得るということです。 部分を見て局所的な対応をした所で、全体である地球の物質循環や生態系が どのように変化していくかが分かっていなければ本当の解決にはなりません。
 生態系のような複雑系に対し、部分の研究でアピールしていくことはもちろん重要ですが、 それらを組み合わせてももとの全体にはなることはありません。 確かに短期的に見れば必要な「部分」の知見が発展することでこと足りるでしょうが、 本当に「環境問題」という複合的な問題の解決を目指すのであれば、「全体」の研究、 言い換えれば「同じ全体に対しての、様々な異なる分割手法による解析」が根源的には重要であろうと私は思います。
 例えば現在用いられている一つの研究の方法は、実測に基づいたモデル化による コンピューター上でのシミュレーション実験や、持続可能な系をフラスコや試験管に 人工的に創成した上での培養実験等です。複雑な全体を理解するために、なるべく自然界に近い形で、 解析可能な人工系を作り出して研究しているわけです。

科学的根拠に基づかない正義
 また、環境問題は科学だけの問題ではなく、政治や社会と密接に関わる問題でもあります。 「全体」の為に行った「部分」の対応が、逆に「全体」を悪化し得ることを先に述べましたが、 特に問題なのは「部分」の対応が、政治的あるいは社会道徳的に正しい行為として認識されているようなケースです。
 その代表的なものとして、一部のリサイクルがあげられます。リサイクルは現在、 社会的に正しい行為、環境に良い行為だと考えられていますが、例えば再生紙について考えてみると、 古紙の回収、分別、加工、漂泊といった過程は多くのエネルギーと化学物質の消費を伴っており、 本当に環境に良いのか、しっかりとその評価がなされているのか疑問です。世界の木材消費の内、紙パルプの占める割合は20%前後です。 多くは建築材や燃料に用いられています。また、パルプに使用できる種類は限られているため、 野生の木を用いることはあまりないようです。例えば有限な化石燃料を消費するよりも、 計画的に管理された林を利用する方が環境に優しいとは言えないのでしょうか。
 一面的な認識に基づいた(基づいている可能性のある)社会的な正義よりも、 まず正確な知識を知ろうとすることが先にあるべきだと私は思います。(05.1.17.筆 05.2.18訂正)



インターネットと環境問題
 環境問題の解決は、全体としてある問題をいかに全体としてのまま捉えることができるかにかかっていると思います。 例えば生態学、文化人類学、経済学といった立場からそれぞれに環境問題が考えられていても、 実際の環境問題はそれらの複合体であり、現在のように細分化されたままの状態では解決は困難であろうと考えられています。 様々な大きさのカテゴリーで有機的に状況を把握し環境リテラシーを保つことが、学問や、マスコミや、政治、 そしてそれらに携わる個々人に今求められていることでしょう。
 それにはツールとしてインターネットが一つの大きな役割を担っていると考えられます。しかし現状では、 ネット上には雑多な情報が大量に散乱していて、まず情報の検索と選択、把握に大きな労力を強いられることがしばしばです。 現状では、たとえ自ら異なる立場の考えに出会おうとしても(まずそういったこと自体が少ないと思いますが)、 うまく出会える可能性はそれほど高くはないと思います。つまり、使いやすく目的を絞って利用できるような、 より優れたネット上の情報検索システムと、様々なカテゴリーに属する人間が同じ目的において集合した 学際的な場の提供が今必要だと私は思っています。(05.1.19.)



LCA(ライフサイクルアセスメント)
 製造段階から廃棄の段階まで、全体として製品を評価することをいいます。 例えば大陽電池は使用の段階だけみればクリーンエネルギーですが、製造時や廃棄まで考えると CO2もけっこう排出しますし、汚染物質もまき散らします。
 現在水素をエネルギーとする燃料電池が注目されています。しかし、水素は主に天然ガスから製造するのですが、 その過程で、製造される水素の12倍の質量のCO2を排出します。高温高圧環境を維持するために化石燃料も大量に消費します。 燃料電池の製造廃棄、天然ガスの採掘、水素の液化、運搬等も考えれば、まさに現状において 水素をエネルギーにしようとすれば多量のCO2排出、その他環境汚染を引き起こすと考えられます。
 一方で現在アイスランドでは、使用するエネルギーを化石燃料から水素へと全て変える運動が進んでいます。 水素を製造すれば化石燃料を消費するということで矛盾を感じますが、そうではなくて、 アイスランドの運動は地熱、水力によって水素を作り出そうというものです。 このような化石燃料の消費を伴わず製造された水素のことをグリーン水素というそうです。
 ただ天然ガスから水素を製造するよりもはるかにコストがかかるようです。 化石燃料の値段が大幅に上昇するまで、世界的なエネルギーの変革は今後数十年も起きないだろうというのが専門家の予測です。(05.10.5.)



家庭エネルギーの今後
 火力の調整等ができない原子力発電所における深夜の余剰電気エネルギーを、 ヒートポンプ式給湯機(使用した電気エネルギーの3倍程度の熱エネルギーを得られる)や IHクッキングヒーター(電磁誘導加熱式クッキングヒーター)に用いることによって有効活用できる「オール電化」の普及が好調です。
 一方でガス会社は、電力会社によるオール電化の流れに対して、やや遅れつつも 「エコウィル(ガスエンジンによる家庭用コージェネレーションシステム)」や「家庭用燃料電池コージェネ」で対抗し始めています。
 「エコウィル」は、ホンダが開発した出力1kWガスエンジンに排熱利用システムを組み合わせたものです。 都市ガスを燃料にガスエンジンで発熱し、排熱から約80℃のお湯を作って、給湯や風呂、浴室暖房、乾燥機、冬場の暖房に使います。 電気と熱を合わせた総合エネルギー効率は80%を超え、燃料電池をわずかに上回ります。 大量に温水を使う家庭に向いているといえます。売り上げは好調で、LPG(液化天然ガス)用のシステムも開発、販売されています。 ガスエンジンは、ガソリンエンジンほど量産化が進んでいないとはいえ、従来からある凡用部品を転用できるコストメリットは大きいと言えます。 2006年1月の業界最大手である東京ガスの参入が決まったことで、販売台数の大幅増と製造コスト削減が進むと思われます。
 「家庭用燃料電池コージェネ」は出力1kW程度の固体高分子型燃料電池(PEFC、作動温度が低く、また小型化も容易) を用いた家庭用コージェネレーションシステムで、主に東京ガスが実用化に向けて力を入れてきました。 燃料電池は水素を燃料とする未来のテクノロジーとして自動車やモバイル機器の分野で注目されますが、 しかし家庭用燃料電池コージェネはコスト(1000万)と耐久性(3年程度)の面から 当初の予定よりも本格的な実用化は10年以上先に延びるようです。
 またこれまでの都市ガス、LPGから水素を改質する技術に加え、2005年11月に新日本石油は灯油(専用の低硫黄灯油) を使った家庭用燃料電池を開発したと発表しました。自宅に灯油用の専用タンクを設置している寒冷地での使用が想定されています。
 ガスエンジンの発電効率は約20%がやっとなのに対し、燃料電池は現時点の試作機で、 天然ガスから水素を取り出す技術を差し引いても約30%を達成しています。電気を多めに使う家庭や、 集合住宅等の静粛性が求められる設置場所には、燃料電池コージェネが向いていると考えられます。(05.12.19.)



経済と環境問題
 SEA(戦略的環境アセスメント)とは、事業の計画段階、政策の形成段階において環境アセスメントを義務づける制度です。 主要先進国で整備が進む一方で、我が国においてはいくつかの自治体では先進事例があげられるものの、 1997年に制定(施行は1999)された環境影響評価法(通称アセス法)では附帯決議に留まり、 その制定は見送られました(事業の「実地段階」で義務づける)。
 また京都議定書に基づく一連の流れの中で、2004年具体的な案として環境省が提示した「炭素税」は 経済界の強い反発にあい実現されることはありませんでした。
 短期的な視野に立って経済を重視すれば、環境政策が進まないのは当然と言えるでしょう。 しかし長期的な視野に立って見れば、環境を重視した体制にシフトしていくことは政治的にも経済的にも 必ずプラスになっていくはずです。環境問題は人類の生活圏に関わる問題であり、いずれは必要にせまられ変革せざるをえない 状況になっていくことは容易に予想できます。
 例えば環境先進国であるドイツでは、厳しい環境政策の中で、企業の生産する製品は大きく変化しました。 短期的には恐らくマイナスですが、結果としてはコストの削減や、環境負荷の軽減、環境先進国としての発言力を得たわけです。 現在の日本において官主導で改革に向かうことは、先の時代に向けてリードを得るという意味で非常に重要なことではないかと思います。(05.2.18.)


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